語らずとも、かたちが伝えるもの
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最近読んだ秋田道夫さんの『かたちには理由がある』には、「◯△⬜︎といった単純な形で構成されるデザインが理想であり、長く考えたから優れているとは限らない」という言葉がありました。
さらに、「理由を語らなくとも、感じられるプロダクトであるべき」とも。
その一節が、じんわりと心に残りました。
私自身、ジュエリーの制作において直感で決める場面が多く、時に「浅いだけでは?」と不安になることも。でも、 「感じられる理由」が形に宿っているのなら、それはそれでいいのかもしれない、と思わせてくれたのです。
たとえば、HAPPY CAKE JEWELSの作品には、整いすぎないフォルムや、少しのゆらぎ、歪みがあります。それは「意味があるから」ではなく、「意味がにじむから」。
そんな存在になってほしいと願いながら、ひとつひとつ形にしています。
秋田さんのようなミニマリズムとは少し違うけれど、
「語らずとも、伝わること」
「説明よりも、余白の中に理由があること」
そんな視点に、大きくうなずきました。
…そんなふうに思いながらも、
正直なところ「言葉で伝えなければ、なかなか伝わらない」という現実も、
日々痛感しています。
だからこそ、こうして文章を書くことにも、意味があるのかもしれません。
静かに宿る想いと、言葉にする勇気。
その両方を持ちながら、これからもものづくりを続けていきたいと思います。